皆様こんにちは。
今回はスタッドレスタイヤの履き潰しのリスクについて、お話
したいと思います。スタッドレスタイヤの履き潰しとは、溝が
浅くなり雪用タイヤとして使えなくなったスタッドレスタイヤ
を、冬が終わってもそのまま使用することを指します。履き
潰し自体は違反ではありませんが、大きなリスクがあることを
認識しておくべきです。
先ずは、差し込んだ表をご覧ください。タイヤの種類と状態、
天候によって制動距離がどれくらい変化するのかを検証した
JAFさんのテストデータです。新品状態の10分山の夏用
タイヤ、摩耗した5分山と2分山の夏用タイヤ、5分山の
スタッドレスタイヤの計4種類を用いて直線ブレーキテスト
と旋回ブレーキテストをそれぞれドライ路面とウェット路面
で行っています。このうちの5分山スタッドレスに焦点を
当てて検証結果を見てみましょう。
■直線ブレーキテスト(ドライ)■
スタッドレスタイヤのゴムは柔らかく「ヨレ」が起きやすい
ので踏ん張りが利かず、そもそも夏タイヤよりも制動距離は
伸びがちです。そのことが5分山のスタッドレスタイヤでも
表れた格好です。夏タイヤと比べて制動距離は1~2割ほど
伸びています。
■直線ブレーキテスト(ウェット)■
60km/hからのブレーキングテストではドライと比較して制動
距離は1割ほど伸びています。同じ5分山の夏タイヤとの比較
だと軽自動車1台分に相当する距離が伸びました。100km/h
からのブレーキングだと、60km/hと比べて制動距離は50m
以上伸びました。これは大型乗用車10台分!にもなる距離で、
ツルツルに近い状態の2分山の夏タイヤよりも悪い数値です。
■旋回ブレーキテスト(ドライ)■
半径20メートルのカーブを時速60km/hで旋回しながらフル
ブレーキングし、制動距離と、停止するまでに前後輪がどれ
くらい外に逃げたかを測定しています。制動距離は夏タイヤ
と比較して約1割増しと、直線でのテスト時とほぼ同等です。
しかし停止するまでに前輪が2.5m、後輪で2.0m外に逃げて
います。大型乗用車の全幅よりも大きな数字です。5分山の
夏タイヤとの比較で見ても2.5割増しで、ツルツルの夏タイヤ
に近い値です。
■旋回ブレーキテスト(ウェット)■
ドライコンディションと比べて数値は当然悪くなって、制動
距離は3割増しの約6メートルも伸び、タイヤが外に逃げた
距離は前輪が4.8m、後輪が4.1mと倍になりました。だいぶ
コントロールし辛い状態にあると言えます。
~まとめ~
ドライ路面の結果だけを見ても、夏タイヤに比べてブレーキ
性能が劣るスタッドレスタイヤです。止まれると思った所で
止まれない、といった事も考えられます。ウェット路面では
その差はさらに拡がり、もはやコントロール不能に近い状態
であり非常に危険です。また、ウェットでの旋回ブレーキ
テストでは前後輪が4~5mほど外に逃げました。これは
大型乗用車の全幅2台分以上に相当する数字です。この状況
で対向車がいたら、と思うとゾッとしますよね。
冬シーズンが終わったら、安全の為に夏タイヤに履き替え
ましょう。やむを得ずスタッドレスタイヤを履き潰す場合は
早めのブレーキを心がけるなど、安全に配慮しましょう。
JAFさん提供の関連参考動画があります(お手数ですがコピペお願いします)
↓ ↓ ↓
https://www.youtube.com/watch?v=W1OccYE8vxI
■補足
10分山(新品状態)の夏タイヤの溝深さはおよそ8mmなので、
5分山だと残溝は4mmでタイヤメーカーが交換を推奨している
数値です。2分山だと残溝は1.6mmほどで、使用限度を示す
スリップサインが露出し、見た目にもツルツルに近い状態です。
スタッドレスタイヤは新品の溝深さが約10mmなので、5分山
だと残溝は5mmほどで、雪用タイヤとしての使用限度を示す
プラットホームが露出します。
※ブレーキングテストの表とイラストはJAFさんホームページより抜粋したものです